ついこの前、本当にコンクラーベが行われたばかりなのだが、トモが「結果が出る前にどうしても観たくて、仕事が終わってから速攻観に行った」と教えてくれたのが映画『教皇選挙』。
そんなに慌てて観に行ったのに、トモに言わせれば、「うーん、どうかなあ」と今ひとつだったらしい。
教皇選挙、私も興味ある。
そもそも無宗教・無信心の私には、教皇という人の「すごさ」がよくわかっていない。いくら素晴らしい人であっても、やっぱり、というか、しょせんというか「人」には変わりなく、根本的には私もあなたも教皇も同じではないかとどうしても考えてしまう。
さらには、教皇になるという周囲には、いろんな思惑が絡まり合って、よからぬ根回しや買収なんか、あったりしないのかと俗なことを考えてしまう。
そんな思いとトモの感想を踏まえた上で、私も『教皇選挙』を観た。
いやあ、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで行われるこの「最高権力者」を決める選挙は、やはり思った通り、欲にまみれてドロドロだった。
敬虔な信者と言いつつ、心の中には当たり前に矛盾を持っていて、みんな何気にそれをあからさまにしている。
だが、皮肉なことに、ドロドロ故、やっぱり普通の「人」じゃんとほっとしてしまった。
結局、全く想定外だった人が教皇に選ばれる。
テロによる爆発事件なんかもあり、教皇選挙は混乱し、教皇にならんがためみんなが欲望むき出しになるわけだが、そんな中、この想定外人物だけが、非常にまっとうな意見をきちんと落ち着いて、ゆっくりと話す。
私が見ても、彼の人間性、聖職者としての力量は、彼が一番だと分かった。
しかし、彼には、実はこれまた想定外の秘密があり……
その秘密のせいで、彼はこれまでずっと苦しんできたが、今となっては、それも真正面からきちんと受けとめ、かつ神の意志に従うものとして、理路整然と言葉にした。
彼の最後の告白は、また圧倒的だった。
なにより、ところどころに挟まれる映像の美が素晴らしかった。
特に、コンクラーベに向かう赤い衣装を身に着けた大勢の枢機卿が、雨の中、一斉に全員が真っ白な傘を広げるシーン。それを高いところから撮った映像は、とても美しかった。
また、エンドロールの重厚な音楽、その途中で初めて画面いっぱいに「CONCLAVE」と出てくるのも素敵だった。
…ということで、私はトモより高得点をつけた。
大勢が 集まりうごめく 欲まみれ
鞠子