買物から帰る途中、近所の奥さんが歩いているのを見つけた。
この奥さんも買い物帰りで、買物用キャリーを引き、リュックを背負い、さらに18巻入りのトイレットペーパーを下げていた。
奥さん、と言ったが、この方、80代後半なのである。
だが、おばあちゃんというのが忍びないほど若々しい。
そして一人暮らしをし、週に何回かヨガに通い、コミバスなど決して使わずこうして歩いて買物に行かれる。
車を止めて彼女を乗せてあげるべきか、このまま通り過ぎるべきか、私は一瞬迷った。
いかにも持っている荷物が多すぎる。おまけに風が強くて歩きにくそうだ。
だが、彼女はいつも「わざわざ歩く人」なのだ。歩くことが、「運動になっている人」なのだ。
私も同類なので、よくわかる。
ただし私は、重い荷物、かさばる荷物のあるときは、車に乗っていく。この奥さんの方が、歩くことにかけては筋金入りなのだ。
一番いいのは、「荷物だけ乗せる」だと思った。
だけど、買ったものを見られたくないという気持ちもあるだろう。
私なら、嫌だ。
そして私なら、自身も荷物も、乗せてもらうことを断るだろう、と思う。
それがなかなか気が重いだろうことも、十分想像できる。
電車の中で席を譲るか譲らないかも迷うが、車に乗せてあげるかあげないかも迷う。
結局私は、黙って通り過ぎた。
よかったのだろうか。まだ迷っている。
歩きつつ 今日の自分を 振り返る
鞠子