時間つぶしのため、知人Yさんと立ち話をしていた。

ささいな出来事を、私が彼女に話していたのだが、その最中に、Mさんがやってきた。

 

そのことを知ったYさんは、私に向けていた顔をいきなりMさんに向けた。

私の話を聞いている途中で、一言の断りもなく突然それを打ち切って、Mさんに話しかけたのである。

Yさんは、Mさんに話したいことがあったのだ。

正直、不快だったが、私の話は言ってみればどうでもいい内容であり、こんなところで不機嫌になるのも大人げない。

時間的に、私はもうそこにいる必要はなかったので、会釈ぐらいして帰ろうかなと思ったのだが、そこへまたHさんがやってきた。

そうしたら何と、Mさんと話していたYさんは、その話を突然打ち切って、Hさんに話しかけたのである。

 

私からすれば、それは余りにも異様な成り行きだった。

そして、YさんがMさんに向かって話していたことも、Hさんに向かって話していたことも、私の話と同レベルな、どうでもいい内容だった。

 

Yさんは、特段嫌な人ではない。

だが、いつも何か引っかかるものがある。私とは異なる何か。私には受け入れられない何か。今日みたいな出来事。

それはおそらく、彼女が「勤めたことがない人」だから。もっと言えば、「他人の飯を食ったことがない人」だからだ、と思った。

 

私自身、仕事中、こういう立場に置かれたことは何度もある。

目の前にいる客様A社長は、明らかな雑談をしている。そこへ、どうしても伝えたいことがある客様B社長がやってきた。一刻も早く、客様A社長の話を打ち切りたい。だが、A社長はそんなことは全く気がつかない。

私はイライラし、ハラハラし、焦る。

だが、A社長もB社長も「同じ客様」であることは間違いない。だから、A社長をむげにすることはできない。

こういうとき、できるだけA社長もB社長も交えて話をするよう試みてきた。両者とも「社長」なので、私にはできない話のキャッチボールができる。

もちろん、そうそう簡単なことではない。何より、私は自分の伝えたいことを何としてもB社長に伝えなければならず、単に2人が楽しく話せればいいわけではない。うまくいかなかったことも多々ある。

 

大げさに言えば、他人ばかりのそんな修羅場の連続だった気がする。

 

しつこいようだが、Yさんはけっして嫌な人ではない。

いつもニコニコしているし、人に気を遣っているのもよく分かる。

だがやっぱり、勤めたことのない人だ。何かが違う。

 

後日、それとなく聞いてみた。

当たっていた。

 

 

 

 

 

 

環境が 人を作ると 痛感す

鞠子

 

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