リモコンをカチャカチャやって番組表を見ていたら、『大江戸捜査網』が目に入った。
ああ、杉良太郎さんが小弥太役で出てくるあの番組ね。
いや、その後の里見浩太朗版かもな。
中村吉右衛門さんの『鬼平犯科帳』を見てから、時代劇がとても好きになった。
大げさな舞台セットに大げさな衣装。
悪代官とその取り巻きは、見るからに悪い人顔で悪い人声。
そしてなにより、刀を構えた役者さんたちの形の美しさ。殺陣のすばらしさ。
なので、今日も『大江戸捜査網』を観ることにした。
だが、小弥太は杉さんでも里見さんでもなく、高橋克典さんだった。
こんな新しいバージョンがあるなんて、知らなかった。
当然、他の配役も全く変わっている。
松岡昌宏、藤原紀香、夏菜、村上弘明、柄本時生 etc.etc・・・・・
だけどなあ、正直、ぜんぜんつまらなかった。
役者さんたちが下手だというわけではない。
だが、時代劇を演じる役者さんは、単にうまいだけでは不十分なのだ。
重厚さというか重量感というか。
不思議なオーラを持っている。画面に現れるだけで、異様なほどの圧がある。黙っていても、姿が何かを物語る。そうでなければ、見ている側は面白くないのだ。
逆に、里見浩太朗さんとか高橋英樹さんとか、現代劇に出るとイマイチな気がする。
時代劇を演じられる役者さんは、もういないのかも。
これまでは、自分より年上の俳優さんが演じている時代劇ばかりだったから、そんなふうに思うのかもしれないが。
それも含めて、これから撮られる時代劇はどんどん面白くなくなるのだろうなと落胆した。
立ち姿 後ろ姿に 匂い立つ
鞠子