稲垣潤一コンサートに行った。
そういえば、こういうタイプの、つまりクラシック音楽以外のコンサートに行くのは、これが初めてのような気がする。
そして、もう始まる前から、「来るんじゃなかった」と思ってしまった。
稲垣潤一さん、と言えば‥‥‥
『ドラマチックレイン』とか『ロング・バージョン』とか、あの頃、めっちゃ感動した。
都会の男と女は、つらい恋もこんなにおしゃれなんだ、と。
それを、無機質で抑揚のない声で歌われるから魅力激増。
何度聞いても胸を突かれる、そういうイメージだった。
そんな思いを抱えて出かけたコンサートは、最初からスタンディング状態。
バラードに浸りながら聞く、という状態では全然なかった。
そして何より、音がでかい。
いや、これは、完全に知らなかった私が悪い。
やっぱり今の私にとって「音楽」とは、ゆったりと座って、ときどきうつらうつらしながら聴くものであり、立ってノリノリで聴く音楽とは相容れないだけのことだ。
なので、ものすごく申し訳ない気がしたが、最後のアンコール曲まで聴いていることができなかった。
そして、このタイプのコンサートには、二度と行くことはないな、と思った。
稲垣潤一さんの声は、古希を過ぎてなお「昔のまま」だということも、話すときはすごく低音だということも、初めて知った。
だが一方で、コーラスの女性の声が、私的には耳に障ったな。
対等のデュエットみたくな曲もあったのだが、かなりの高音を駆使したアレンジがしてあって、この方の持つ声のよさが帳消しになっちゃってる気がした。
…って、ごめんなさい。
『ドラマチックレイン』も『ロング・バージョン』も、今も好きなことには変わりありません。
モノクロの 部屋で静かに 終わる恋
鞠子