いつだったか、有識者が「人間以外、年寄りはいない」旨の発言をしていた。
人間以外の生物は、基本的に、生殖の役割を終えると死んでいくのだそうだ。
だから、そこここで見かける虫や動物など、「若いヤツ」ばかりらしい。
なるほど、犬や猫の寿命が人間より短いのも、それで合点がいく。
人間だけが、生殖の役割を終えたその後が長い。それも、どんどん長くなる一方。100歳と聞いても、珍しくもなんともなくなった。
これ、勝手に長くなったわけじゃない。
長くなるよう、人間が仕向けたのだ。
医療の進歩もだし、自然の脅威から逃れるために、あらゆる手を考えるのもそうだし。
栄養、スポーツ、住環境、快適な衣料。身の周りを見ても、長く生きられるような仕掛けが随所に満ちている。
それくらい、人間の長生きすることへの執着は強い。
だけど一方で、別の問題も発生している。
認知症とか、要介護とか、長患いとか。おまけに、長い老後、メンタル面の問題も大きい。
長生きへの行き過ぎた執着のせいで、結局自滅するという方向に向かっている気がしてならない。
生殖の役割を終えたら死ぬという人間以外の生物の在り方のほうが、結局理にかなっているのではないか、と。
いずれ来る そのときその後 何思う
鞠子