朝、久々に棚橋先生を見かけた。

我が家の近所にある内科医院の院長…だった人。もうかなり前に息子さんに代替わりされている。

滅多に行かないので「かかりつけ」と言っていいのかどうか分からないが、少なくとも、母も私も、具合が悪くなったらここに行っていたし、職場の健康診断で要チェック項目があると、ほとんどの場合、この医院に行っている。

 

今朝、棚橋先生は、医院から数分南に歩いたところにある御自宅の前にいらしった。

その御自宅の前には、調剤薬局(←この医院のための)の駐車場があり、そこから出てきた薬剤師さんと何か話をしてらした。

一見、この二人も久しぶりに会った、という感じの表情だった。

 

息子さんの年齢からすると、御年80台後半なのでは、と思う。

だがしかし、棚橋先生は、髪の毛こそ少なくなっていたが、腰も全く曲がっていず、快活な笑顔で、いい感じのセーターを着ておいでの「清潔感あふれるナイス年配」だった。あまりにも若々しくて、思わずガン見してしまった。

全然見かけなかったから、もしかして病気かも、とか、もしかして施設にいるのかも、と思っていたので、結構びっくりした。

 

そして、それとは違った意味で驚いたのは……

 

棚橋先生、「タバコを吸っていた」のだ。

先生は、タバコをくゆらしながら、薬剤師さんとにこやかに談笑していた。

今どき、公道で、タバコを吸いながら話をするという光景を見ることは皆無になったし、何よりそれ以上に「この人、スモーカーやったんや」のほうが驚きだった。

 

医師だから、タバコを吸ってはいけないわけじゃないし、タバコを吸わないわけでもない。

だが、何十年も前から、あの医院にはタバコの気配は全くなかった。喫煙する場も設けてなかった。

そういえば、母が胸を患ったときも、タバコをやめるようしつこく言っていた。

それなのに……

現役時代、棚橋先生は、いつ、どこでタバコを吸っていたんだろう。

母に対し、どんな思いで断煙を言っていたのだろう。

なにより、スモーカーでいらしても、あんなに元気。

いつか読んだ渡辺淳一さんが、自身の医師時代を振り返り「病気は、神様が天から適当に落としているとしか思えない」旨、書いてらしたことを、久々の棚橋先生の姿に、また思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

煙草吸う 母の姿に 忍び泣き

鞠子

 

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