新聞の人生相談に、乳がんにかかった60代の女性が、離婚しようかどうしようか迷っている旨の投稿をしていた。

医師は全摘を宣告。彼女が胸を見ていると、夫は「名残惜しいの?」とか「再建は形が難しいらしい」とか言うらしい。こんなときこそ夫に頼りたいのにデリカシーまるでなし。この夫とはもうやっていけない、というのが彼女の主張だ。

 

答えていたのは高橋源一郎さん。

あなたはあなたの人生という未完のプロジェクトを遂行せよ。あなたの夫は、誰かと暮らすことの意味もそのことへの努力の必要さも感じることができない人だった。本当は、もっと前に別の生活を始めるべきだったのだとまで断言していた。

 

投稿者が引用した「名残惜しいの?」「再建は形が難しいらしい」という夫の言葉。

これに対し、私は高橋さんとは真逆の印象を持った。

 

乳房がなくなったって、それが何だと言うんだ。

命さえ助かればいいではないか。それが一番大切じゃないのか。

そんな「精一杯の励まし」と思えたのだ。

御主人だって、心配でつらくてたまらない。だけど、一緒に嘆き悲しんでいてはだめだ。だから、あえてこういう言い方をしたのではないか、と。

 

実際は、一緒に住んでいる人しか分からないことがいっぱいあって、この御主人の日常は、奥さんにとって無神経でデリカシーのない冷たい言動ばかりなのだろう。

離婚まで考えるわけだから、乳がんに対する彼の発言だけが問題なのではないとは思う。

だけど、もし、この投稿者が「離婚しない」ことをほんのわずかでも選択肢に入れているのなら、御主人の言動を別の角度から見てみるというのはどうだろうか。

 

お気楽シングル貴族の私が言っても、全く説得力がないが。

 

 

 

 

 

 

覚悟する 病もひとりで 受けて立つ

鞠子

 

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