車で走行中、某小学校校門前の横断歩道に、ランドセルを背負った男の子が1人、立っているのが見えた。
信号機のない横断歩道。
対向車が横断歩道に面して停車した。
私も当然、停車した。
その男の子は、横断歩道を渡りだした。
ところが、半分渡り終えたところで、彼はなぜか立ち止まったのである。
そして、対向車線で止まっている車を見た。
そのあとゆっくり振り返り、私を見た。
そのとき、なんとも不気味な表情をした。
ニャッと笑ったのである。「どうや、動けへんやろ」みたく、「ざまあみろ」みたく、残忍な笑顔を浮かべたのである。
その間、実はわずかな時間だったと思う。
だけどゾッとした。
背筋がゾクリとするほど、嫌な瞬間だった。
幽霊を 見たよな冷気 秋の午後
鞠子