いつも行くマックスバリュで、親戚と出くわした。
行き当たって、あっと思ったが、ふと、そのまま通り過ぎてしまった。
むこうもそうだと思う。
一瞬で私を判別したかどうかは分からないが、少なくとも数秒後、私であることを確信したと思う。
それから、店内で、数回、また行き当たった。
私は今更名乗れなかった。相手も同様な感じだった。
この親戚、私の母の兄弟の息子。
近しい間柄といえば近しい間柄だし、何かトラブルがあって疎遠になったとかそういう訳ではない。
ただ何となく疎遠になっていった。
思えば私は、親戚という関係の人たちと、いまや一切交流がない。
それこそ、ただ何となく、そういったしがらみ全てから疎遠になっていった。
今日会った親戚は、実はこのマックスバリュで以前も数回、見かけたことがある。
そのときは、お互いに行き当たるという状況になかった。というより、むしろ、私のほうがなにげに避けてしまった。
その「なにげに」の一因には、彼が、惣菜を何点も買っていたことがある。
瞬間、彼の、うんと年下の、派手で横着そうな奥さんが頭に浮かんだから。
それこそ40年くらい前、彼らの結婚式で、満面の笑みでピースサインをしながら入場した黄色の打掛の新婦。
その姿を見たとき、私は彼の行く末に不安を感じたことまで思い出した。
今日も彼は、何点もの惣菜を買っていた。
そして、発泡酒の缶が買い物かごに入っているのが見えた。
お互い還暦を過ぎ、お互い知らない毎日を過ごしてきた。
最初に行き当たったとき、思い切って声をかければよかった。
そうして、普通に話をすればよかった。
少なくとも、そういうものを買っていたからどうということではない、と自分に言い聞かせるしかなかった。
久しぶり 元気だったと 言えぬ秋
鞠子