Uさんがスイミングクラブを退会したのは、コロナ禍よりももっと前。
勤め先は隣県だし、なにより車を持っていない人だったので、時間的になかなか来られない。そうなると、会費がもったいない。
「しばらくやめることにした」と聞いたときも、まあ、やむを得ないよな、と思った。
以来、彼女とは全く会っていないのだが、夏になると思い出す。
当時、彼女から聞いたところによると、彼女は親が残した古くて大きな家に一人で暮らしていた。
そしてその家、エアコンがない。
昼中は勤めに出ているわけで、家にいるのは夜のみ。そのためだけに、いまさらエアコンをつけるほどでもない、と言っていた。
だが、だんだん、暑さが尋常でなくなってきた。
だから彼女曰く、「めっちゃ暑い日は、職場の近くのビジネスホテルに泊まる」。
なんでも、1回、泊まってみたらその快適さに病みつきになったのだそうだ。
私はそれを聞いたとき、びっくりした。
暑さのために、ホテルに泊まる。そんなことしていたら、お金めっちゃかかるじゃん。
だけど、考えてみたら、1カ月フルに泊っても、エアコン購入代くらいか。
職場に通う交通費、家での電気代・水道代、それらを加味したら、むしろコストダウンかもしれない。
それにしても、これほど毎日激暑日続きだと、2か月も3か月もホテル住まいしなければならないだろう。
彼女、今頃どうしているだろう。
気になるけど、わざわざ連絡を取るほどでもなく。
ま、Uさんのキャラからすれば、きっとうまくやり過ごしているとは思うが。
ジャグジーで 初めて話した 星の夜
鞠子