仕事用で信金に行った。
駐車場、満車。この信金で、こんな光景に遭遇したことがない。だがしかし、なにせ6台分しかないので、たまたま運悪くこうなったのだろうと思い、エンジンをかけたまま待っていた。
5分待った。誰も出てこない。
10分待った。やっぱり誰も出てこない。
これはもしかして、客の車ではないかもしれない。私はあきらめて、先に別の銀行に行くことにした。
そうして10分後ぐらいに戻ってきたら、かろうじて1台分のスペースのみ空いていた。
しかし、残りの車全車「さっきと同じ車」。
この信金、今日、何かあるのかもしれない、と思った。
…が、行内に入って、何分もたたないうちに原因を察知した。
それは、2つある窓口のうちの1つにいる女子行員。
彼女、ミーアキャットみたいにきょろきょろしているだけで、全然仕事をしているふうにないのである。
そこで思い出した。
10日ほど前に、この信金に来たとき、応対したのはこの女子行員だった。
対応がたどたどしく、全ての動作が遅い。
タブレット操作も、結局、私が主導するみたくな状況に。
20万ほどお金を引き出したのだが、私の目の前でお札を数える手つきが「まるで素人」。おまけに、数え終わったら「お金が合わない」。3回ほど数え直し、ようやくトレイに乗ったお札を差しだした。どうにも心配になり、思わず私もお札を数えてしまった。窓口でお金を数えて確認するなんて、私も初めての経験だった。
彼女のせいで、全ての業務が目詰まりを起こしている。そう確信した。
一生懸命頑張っている新人なら私も温かい目で見る。
だが、今日の彼女は余りにもひどかった。
窓口で怒る客がいるだろうこと、大いに予想できた。
これは彼女の能力のせいなのか、それとも、適所に配置できない信金のせいなのか。あるいはまた、適所でないと分かっていても人がいないからやむを得ないのか。
いないよりはいた方がまし。でもこれでは、信金も、なにより彼女自身も不幸だ。
結局、窓口業務じゃない後方の男性行員まで出てきて、空いたカウンターで立ったまま応対し始めた。
用をすませ職場に戻ったが、あまりに帰りの遅い私に、他スタッフは「何かあったんじゃないか」と心配していたらしい。
置かれても そこで咲けない 人もいる
鞠子