大げさでも何でもなく、生まれてこのかた見たことがないほどの巨大なムカデに侵入され、二度と同じ目に遭わないよう、翌日、速攻で屋外用毒餌剤『ムカデこないもん』を購入。家の周り、あちこちに置いた。
以来、これで1か月ほど、経ったのだが……
この『ムカデこないもん』にわざわざやって来るヤツらがいることに気がついた。
それ、ダンゴムシ、あるいはワラジムシ。
ヤツらはわざわざ『ムカデこないもん』をめざしてやって来る。そして、『ムカデこないもん』の周りで死ぬ。
家の周りに置いた『ムカデこないもん』総計10個強。
全ての周りに、ダンゴムシかワラジムシの死体がゴロゴロ転がっていた。
それはそれで、とっても不愉快。
いや、不愉快は、それでだけではない。
肝心のムカデは、というと……
『ムカデこないもん』を置いたにもかかわらず、また不法侵入された。
だが、今度のはこれまでにも見たことある程度のガタイ。
それも、流し台にいたので不幸中の幸いだった。
そういえば歌トモは「割りばしでつまんで屋外に逃がす」と慈悲深い神対応をする旨、話していたが、私にはそんな芸当はできそうにない。
不要な殺生はしたくないが、死んでもらう以外、道はない。
台所用洗剤はどうか……だけど、即死はしないわな。こちらは腰が引けてるし、洗剤をかぶった敵は必死で火事場のバカ力を発揮し、取りあえずは逃げおおせ、トンデモなところで死ぬ可能性もある。
瞬殺するには、熱湯しかない……
ものすごく気が引けたし、ものすごくイヤだったが、心をオニにして実行した。
ムカデは熱湯死すると、腹側が白くなることを初めて知った。
『ムカデこないもん』はムカデには効かないのか。
嫌だなあ。イヤな予感がする。
…ん?流し台にいたことが不幸中の幸い?
それは、殺人現場(←正しくは殺ムカデ現場)としては後処理がしやすいだけのことで、私が発見する以前、食器や調理器具の上で好き放題していた可能性大。
ますます嫌な気分になってきた。
懸命に ただただ生きてる それなのに
鞠子