片側3車線ある大きな国道を、歩いて渡った。

向うからは、自転車に乗った女性が。

すれ違いざま、その人は私をしげしげ見て、信じられないことをつぶやいた。

 

「とっても素敵」

 

笑いながら、「とっても素敵」を2回繰り返したのである。

 

何言ってんだ、この人は。

まったくもって、キツネにつままれたみたいだった。

 

その人の視線からすると、「素敵だ」と言ったのは、私の髪、あるいは髪形のようだった。

かつて、お尻の辺りまで伸ばしていたのだが、その頃ならまだしも理解できなくはないが、今となっては、

 

半分白髪

ほとんどぼさぼさ

 

なわけで、姉など「頼むから染めてくれ」と懇願するほどの状態なのだ。

日曜日、週1回のカラートリートメントで微妙にごまかしてはいるが、それとてもう追いつかなくなってきた。それに、今日など、もはやその効果ゼロ状態。

 

あの人、なんで「とっても素敵」なんて言ったんだろう。

決して、バカにした、とかふざけたという言い方ではなかった。

 

全くわけがわからない。

今でも、キツネにつままれたままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

何ひとつ 素敵なとこなど 見つからない

鞠子

 

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