これもかなり古い2時間モノのテレビドラマシリーズ。
木の実ナナ扮する二階堂雪はいわゆる警備員で、スーパー等に派遣され、店内を見回って万引き犯を捕まえる。
雪の夫が角野卓三、娘が中山忍。
いかにも庶民的なアパートに住み、パグ犬を室内飼いしている。
ミステリードラマなんだが、二階堂家といい派遣先のスーパーといい、人情味あふれている。
万引きは立派な犯罪だが、その特性上、犯人の生い立ちや家庭環境など、このドラマは犯人側の事情もむしろ温かいとらえ方をしている。
…なので、放映されていた当時は、あんまりおもしろいと思わなかった。
ミステリードラマなのか人情ドラマなのかあいまいだし、何といっても木の実ナナの濃い顔立ちが警備員、いい奥さんには思えず、対する角野卓三が見劣りしすぎで配役的にもミスマッチだと思っていた。
ところが今、このシリーズ、CSで再放送されており、ちらと見たが最後、次回が楽しみになってしまったのである。
若かりし頃、毛嫌いしていたどっちつかず感以上に、この二階堂家のあり方にすごく癒される気がするのだ。
木の実ナナ&角野卓三のミスマッチも、全然ミスマッチに思えなくなってきた。
濃い顔立ちだからこそ人情がより厚く感じられ、さえないからこそ不器用な愛情を感じる。中山忍のきれいだけど、ちょっと抜けている感が、またいいアクセントになっている。
雪は職業柄、怖い目に遭ったりするし、夫・透もたしか失業したりして大変な状況だったりするのだが、この一家は持ち前の明るさでやり過ごしていく。
旅行券が当たる懸賞に応募して一喜一憂したり、当たらなかったらフラダンスをして現地に行った気分で笑い飛ばしたり、その庶民の生活、笑ったり怒ったりする日常が何とも心地よい。
ズバリ、こういう家庭だったらいいな、こういう家庭を持ちたかったと思うのである。
この視聴感の変化は、私が本当に年を取った証拠でもある。
ないものを ねだり得られず 日は過ぎる
鞠子