仕事から帰る途中に見かけた3人。

それぞれの人生を垣間見た気がする。

 

〈1〉転倒した男性

 

細い道、減速して車を走らせていたら、数軒先の家の駐車場、塀越しに頭だけ見えていた男性が、突如消えた。

 

通りすぎるとき、つい、わき見をしてしまった。

男性は、駐車場で、自転車もろとも倒れていた。

 

細い道、後続車も対向車もいる中、一瞬通りかかっただけの私は車を停めることはできなかった。

 

こういう場合、何としても車を停めて介抱すべきだろうか。

 

なぜ倒れたかは分からない。

だけど、もう全然他人事じゃないな。

私など、絶対的にもう「上手に転べない」。

腕を折るか足を折るか、よくても捻挫はきっとする。もしかしたら、顔から転ぶ可能性も大だ。

 

おじさん、ヘルメットは着用していたな。

個人の家の駐車場だったから、せめてその人の自宅で、早く家人が気づいてくれたら……とやるせない思いで、車を走らせた。

 

 

〈満面笑みの男性〉

 

そこから数分も走らぬうちに、両手にレジ袋を提げた男性と出くわした。

ぱっと見、さっき転倒していた男性と同じくらいの年に見えた。

 

そのレジ袋、相当重そうなのに、なぜかその男性、満面の笑みなのだ。

 

何かいいこと、あったのかな。

同じ年代の人でも、さっきの人とは雲泥の差。

 

すれ違うとき、袋の中身が見えた。

ペットボトルのウィルキンソン炭酸水が5、6本入っていた。

もしかしたら、焼酎何かも入っているのかもしれないな。

 

これから家呑みする自分を想像して、満面の笑み…… それもよし、か。

 

 

〈疲れ果てた小学生〉

 

てなことで、私はパン屋に寄り道したのだ。

駐車場に停めて車を降りたら、ランドセルをしょった女の子が歩いてきた。

ランドセルには「交通安全」と大書きされた黄色のカバーがかけられ、帽子も黄色で、一見して「1年生やな」という風体だった。

 

だがしかし、彼女が発する疲労感オーラがハンパなかった。

 

「トボトボと」「ヘナヘナと」「フラフラと」「ダラダラと」、これらのオノマトペ全部ミックスしたような歩き方をしていた。

その表情ったら、完全に疲れ切っていた。

 

学校で何かあったのか、日常生活で何かあるのか、やっぱり分からない。

だが、転倒した男性や満面笑みの男性より「生気がない」のは確か。

小学1年生で、この疲労感…… こっちまで憂鬱になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの人も 疲れているねと 憂う友

鞠子

 

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