母はお餅が大好きだったが、私は苦手だった。
お正月、お雑煮も焼き餅も、できる限り避けてきた。
大福とかおはぎとか、餅系のお菓子も好きじゃなかった。
その一番大きな理由は「熱いから」。
お雑煮ならお餅全体が熱い。
焼き餅も、外側はともかく内部の熱さがハンパない。
口の中に入れた後、いつまでたっても熱いままなのが、すごくイヤだった。
餅系のお菓子については、伸びるのがイヤ。
口の回りがベタベタになるのが苦痛だった。
だがしかし···
この頃、餅系に異様に執着し始めたのである。
熱いのも伸びるのも、餅系自体は何も変わっていないのに、味噌煮込みに入った餅、ぜんざいの餅、大福、草餅、そんなものが食べたくてしかたがない。
今は、ケーキより圧倒的に、餅系のものが食べたい。
うわ、もう本当に母に似てきた。
実は、顔立ちも母にそっくりになってきて、必死に抗っているのだが。
···無駄な抵抗のようだ···
ガラス越し 目尻に母を 思い出す
鞠子