スイミングに行ったら、ロビーに松葉杖の少年がいた。
お母さんらしき人とコーチと3人で立ち話をしている。
コーチが「残念だけど…」という声だけ聞き取れた。
見るでもなしに見たら、少年はつまらなさそうな顔をしていた。
おそらく、しばらくの間泳ぐことはできない。何でケガをしたのか分からないが、きっと泳げないことが面白くないのだろうと思う。ケガをした理由が不注意だったとしたら、悔しさも手伝っているに違いない。
右足にギブスをして後ろに曲げ、地面につかないようにしている少年。
3人の立ち話はずっと続いている。
結構長い間続いている。
座ればいいのに、と思うくらい、長々続いている。
すごいな、片足であんなに長い間、立っているなんて。
そもそも、松葉杖で体を支えているんだから、脇の下だって痛いに違いない
私なら、あの態勢で立ち続けることはできない。
気になってしかたがない。
更衣室のある2階に上がってからも、気になって見下ろしてしまった。
3人、本当にずっと話し込んでいた。
松葉杖の少年は、立つことそのものには何の苦もないよう、しゃんと立ち続けていた。
それを見ながら、「ケガをするのも若いうちでないとだめなのだ」と痛感した。
松葉杖 己の重さを 脇で知る
鞠子