今朝、出勤途中、車を走らせていたら、向こうの方に自転車が見えた。

こちらに向かって走ってくる。

 

車同士の事故も怖いが、負けず劣らず自転車も怖い。

思わず身構え、前方を凝視した。

白いダウンを着た人が自転車に乗っている。

 

近づいてき、自転車の全貌が見えたとき、ギョっとした。

白いダウンの人は、60代の半ばに見える。

だがまず、手袋をしておらず、素手でハンドルを握っている。

おまけに、スマホで誰かと談笑しながら片手で自転車に乗っているのである。

 

その時間帯、このあたりの気温は2、3度だったと思う。

素手で自転車なんて、ありえない。私なんか、車の運転ですら、この時期素手では相当つらい。

なにより、「スマホで通話しながら」なんて、120%ムリだ。

いや、片手運転すらムリだ。

もしかしたら、自転車の運転そのものが、もうできないかもしれない。

 

私にあれはできない。

同じ年頃でも、身体の持つ力はこうも違うのだ。

おそらく、身体だけじゃなく心のほうも。

 

白ダウンの人がやっていたことは危険極まりなく、決してほめられたことではないが、一方で、羨望の気持ちが浮かんだのも事実。

 

‥だがしかし、かといっていまさらどうしようもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

凍える手 内から溶かす 彼の声

鞠子

 

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