今年初めて会ったスイミングトモが、新年の挨拶もそこそこに、更衣室で「ここだけの話だけどね…」と耳打ちしてきた。

新年早々発熱、しんどさに耐えられず救急外来へ。とうとうコロナかと恐れおののいたが、実際はインフルエンザだったのだそうだ。

 

「一人暮らしだとねえ、こういうとき、ものすごい不安よね」

 

彼女は、私も一人暮らしだということを知っているのか知らないのか分からないが。

 

私は、母には申し訳ないが、一人暮らしになって(←つまり、母が他界して)、生まれて初めて「これ以上ない解放感」を味わった。

それこそ、母が亡くなったことに関しては、今でも胸にチクチク刺さることがいくつもあるが、それらを差し引いても、一人暮らしの幸福感、あまりある。

幸い、一人暮らしになってから救急外来を利用しなければならないような病気にかかったことがないから想像するしかないが、もしそんな事態に陥っても、きっと「ああ、一人でよかった」と、少なくとも「母がいなくてよかった」と思うような気がする。

母を介護していたときは、「私が倒れる」はイコール「母も倒れる」だったから。「母が倒れる」を考えなくていいだけ、よっぽどマシだ。

つまり、一切、誰にも気兼ねせず、何もかもほっぽって「寝込める」。

 

じゃあ、動けなくなったらどうするか、だが、それも今となっては、「肉親とかに気を遣ってお願いするのは苦痛」と思うようになった。

 

順当にいけば、姉が亡くなったら、私に最も近しいのは甥と姪ということになるが、やっぱり彼・彼女は、一線の向こう側にいる。希望としては、良くも悪くも一切煩わせたくない。

 

ひとり暮らしを不安がっているスイミングトモには、そんなこと、言えなかったけど。

それよりなにより、何で「ここだけの話」なのか?

おそらく、まだまだみんな、感染症を恐れているに違いないという前提なのだろうと思う。

…って、じゃあ、私はいいんかい!

 

申し訳ないが、この日、この話を聞いた後、意識的に彼女から距離を置いた。

もちろん、不自然にならない程度に。

 

 

 

 

 

 

 

 

痛むのど 両手あてがう ひとりきり

鞠子

 

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