職場のざわざわ、まだ続いている。
そりゃそうだ、何の解決策も出されていないんだから。
そんな中、客様から、恐れていた解決策が出された。
「鞠子さんに復帰してもらったらどうか」
定年になる1年以上も前から、「今後、私のやっていた仕事をどうするのか方針を出してくれ」と上司や後輩たちに言い続けていた。
一向に何も出てこない。
だから私の方から、「私の仕事を精査し、とりあえずいらない仕事をバッサリ切り、残りを現スタッフで分担する」という提案をしたが、これは猛反対にあってアウト。そのときもちらっとオトコ後輩の一人が、「このままの状態で継続(←つまり、定年を延長する)してはどうか」と口にした。私としては、他にやりたい仕事(←これが今のダブルワーク)があったので、定年延長は考えていなかった。そんなことになったら、予定が狂う。だから「ならば仕事内容はほぼ今まで通りでいい。だけど、勤務時間を自由裁量にしてくれ」ということで、「時間を給料カット分に充当させる」条件の再雇用となったのである。
自由裁量って言ったって、仕事内容は変わらないわけだから、そうそう働く時間が減るわけではない。減らそうと思ったら、現役時代以上に懸命に、無駄なく仕事をしなければならない。
そこそこ大変だったが、とりあえずこれで1年が過ぎようとしている。
だが、ここへ来て、また状況が変わった。
このままでは立ちいかなくなる状況に陥った。
たしかに客様の言う通り、私が現役時代同様に復帰すれば、目の前のいろいろはとりあえず解決する。私自身、給料ももとに戻るわけで、ダブルワークをする必要もなくなる。というか、物理的にやれなくなる。
だが、それはもう嫌だ。気持ち的にも無理。
もちろん収入が元に戻るのはうれしいし、そうなったら助かる感はあるが、今となってはもうお金でテンションを上げることはできない。その分、いい仕事をして、いい職場にして…などというパワーは、もはや私にはない。
もちろん、ダブルワークも辞めたくない。
ダブルワークに関しては、全く採算が取れない。基本「趣味の域」。だからこそ、辞めたくない。
今の職場にとっても、私の復帰など完全にその場しのぎの解決策にすぎない。
客様は「期限を切ってでも」と言ったようだが、それも信じられるわけがない。
現に定年までの1年で方針を出してくれ…が無視されたわけだから。1日伸ばしにされるに決まっている。
明日、主要な客様ばかり集まる役員会があり、そこで今後が議論されるはず。
「復帰」を言った客様も来る。
この客様の意見が通らぬよう、祈るしかない。
そしてきっと私は、その時が来たら、引き継ぎができていようといまいと、パッと抜けると決めている。
人生を 他の都合で 変えたくない
鞠子