私は、客様Ⅿ社長(←実在)から「話があるから伺いたい」と言われ、「私の方から出向く」と言った。
来てもらうのは気が重かった。話の内容が、決して面白くないことを事前に察知していた。
Ⅿ社長は、作業場に座っていた。
まわりに、作業服を着た職人が、木を切ったり削ったりしている(←実際のⅯ社も、そんな感じの仕事をしている)。
いちお、時の挨拶なんかをした。
しかしそれ以降、Ⅿ社長、何もしゃべらない。にこりともしない。
気まずい私は、時事ネタを持ち出して雑談した。だがⅯ社長、一向に気のない顔をしている。
「…ところで、お話ってなんだったんでしょう」
意を決し、思い切って切り出したが、なんとⅯ社長が言うには「別にない」。
…って、アリか、そんなこと。
話があるっていったのは、オタクの方じゃないのよ…とハラワタが煮えくり返ったが、なにしろ相手は客様。
しかたなく、「それじゃあ、失礼します」と私は席を立った。
Ⅿ社長、表まで送りに来た。
そこで私はⅯ社長に背を向けたのだが、突然後ろからガシッと両肩をつかまれた。
そして、「心配せんでもいいから」と言われたのである。
……という夢を見た。
両肩をつかまれたとき、驚きとか痛みとかは全くなく、不思議なことに、ものすごく安心したのである。
黙ってみているだけ。でも、ちゃんと見守っているから……そんな人がいたらどんなにいいだろう。
昨日は、夢の中で私の本性が露呈したが、今日は願望が露呈した気がする。
求めても 求めるだけでは 得られない
鞠子