定年退職してから、定時の6時まで職場にいることはめったになくなったが、この前、スタッフ全員研修会に出張しなければならない日があり、職場の「留守番」を兼ねて現役時代同様のフル時間勤務をすることになった。
たまたま私自身、その日にやってしまうと後が超ラクという仕事があったため、これ幸いではあった。
朝から職場に一人きり。
こういう状態も、現役時代にはしょっちゅうあった。
誰もいない方が、伸び伸びと自分の仕事に集中できるから、むしろ心地よかった。
なのに今回のそれは、ちょっと勝手が違った。
強烈な、そしてなんとも言えない寂しさに襲われたのだ。
一日中、ずっといたたまれなかった。
現役時代なら当然、今日の研修会は私も参加しなければならなかった。
最も嫌な内容の研修会なのだ。今日だって、行く必要がなくてよかったと思った。だが一方で、それがなんとも寂しい。
結局7時近くまで仕事して、外はもう真っ暗。
これだって、現役時代は普通のことだった。
だが、パソコンの電源を落とし、暖房を切り、消灯して鍵を閉める。その一つ一つの動作そのものも、物悲しくてならなかった。
私は、年を取ったのだ。
そして、この職場を退職した身なんだ。
外の冷気と共に、その現実をイヤというほど思い知らされた。
「やらない」と 「やれない」の差に 涙する
鞠子