ホームセンターで花苗を大人買いした。
並んだ列のレジスタッフ、えらく手がのろい。後ろのほうから見ていたのだが、バーコードを読み取る手つきがいかにも遅いのである。
もしかして、多少、障がいのある人かもしれないな、と思った。
そしてようやく私の番が来たのだが、遅いだけでは済まされなかった。
商品の扱い方がえらく雑なのである。
カゴから取り出すとき、ポリポットではなく、花苗を直接つかんで引き出そうとする。
ウソやろ…
そんな取り出し方したら、花がちぎれてしまうではないか。
思わず名札を見た。
サカイという名のその女性スタッフは、顔中に、「ああ、めんどくさい。なんでこんなにたくさん買うんやねん」と書いてあった。
見かねたのか、少し遠くにあるラッピングコーナーにいたスタッフが走って来てサブについた。
精算し終わった商品をカートに積みながら、「ここを押さえていけば、花が崩れません」とニコニコしながら教えてくれた。
やっぱり名札を見た。ヤマナカさんだった。
サカイさんは、確かに何かしら障がいがあるのかもしれない。
でも、「仕事」をしているのだ。客が金を出し、買った商品なのだ。それをぞんざいに扱うようでは、それは「仕事」とは言えない。
その配慮ができないのにレジスタッフにしているとしたら、それは経営者側の怠慢だと思う。
さらに、もし、サカイさんは今日、たまたま体調が悪かったとか機嫌が悪かったとかだったら。
サカイさんとヤマナカさんの時給が同じだったとしたら。
これはやりきれない。
経営者が社員を大事にするのは当たり前だが、それは社員が大事にされるような仕事をしている、できるように努力しているからこそ、だ。
つまり、「両方向とも」。
いちお、社会人としての第一線を引いた身として、つくづくそう思う。
ノースポールのつぼみが一つ、根元から折れてしまっていた。
がっかりした。
サカイさんに、めちゃめちゃハラが立った。
咲くはずの 我が家の庭で 花芯散る
鞠子