今年3月に定年退職して以来、家に帰る時間がまちまちになった。
…などということを、隣人は知らない。
言ってなくても駐車場に車があるかないかで丸わかりなのだが、むしろ、そんなことに関心を持ってくれないほうがよい。
なのでおそらく、「こんな時間に帰って来るわけがない」と思っていたのだと思う。
今日、家に着いたのは午後4時半。隣家の息子(←30代後半か40代)がうちの駐車場に入って、自分の家の木を切っていた。
こういうのを「不法侵入」と言うのだろう。
一瞬カチンときたが、そんなことでことを荒立てて隣人ともめたら、ますます嫌な展開になる。
彼はさすがにまずいと思ったらしく、私が車からおりる頃には自分の家の敷地に戻っていた。
私は顔だけニコニコしながら、「木、大きくなってますね。どうぞ、うちの駐車場のほうから切ってくだい」と言ってやった。
言いながら、本来なら「すみません」と向こうから謝るべきでしょう、とも思った。
釈然としない気持ちの中で、さらに面白くないことを思いだした。
これはもう30年近く前のこと。
その隣家のおじいさんと孫(←これが、今日、木を切っていた息子)が我が家の駐車場で遊んでいて(←いや、正しくは、遊んでいる最中に孫が入り込んで、それをおじいさんが追っかけたというようなことだと思うが)、おじいさんが転倒。救急車を呼ばなければならないほど派手に出血したらしい。
そのことを、我が家の人間は、後になって近所の人から聞いた。
おまけにおじいさんは、後日「(けがをしたから)あそこ(←我が家の駐車場)は鬼門だ」などど近所の誰かにのたまったらしい。
つまり、「第三者(←近所)から聞かなければ、我が家の駐車場で流血騒ぎがあったことを、我が家の人間は誰も知らなかった」ということだ。
もちろん、隣家から状況説明もおわびも全くなし。当然、菓子折りの一つも来ず。
それよりなにより、自分の家の敷地内で、他人が血を流したことそのもの、決していい気がしないでしょう。
うちの駐車場は、フルオープン。
隣家とは、膝ぐらいの高さのブロック塀が立っているだけ。
そういう造りがいけないんだと言われればそれまでだが、果たしてそうか?
今日に関して言えば「いないから入って木を切る」んじゃなくて、「近いうち、車がないときにちょっと入らしてもらいますね」と事前に言っておいてくれれば済んだこと。
30年前のあのときだって、おそらく孫を追っかけてやむを得ず入ったんだろうから、事後報告で一言言ってくれればよかったのだ。
それを「鬼門」とは。
だめだ、余計にハラが立ってきた。
どうせなら うちの木一緒に 切っといて
鞠子