明け方、右足のふくらはぎあたりがつって目が覚めてしまった。
以前に比べ、寝ているときに足がつる回数が増えた。酷暑につき、体内の水分が少ないのか、あるいはローカのせいなのか、分からないが。
痛むふくらはぎをさすると、明らかに足首に向けて「筋が硬直している」感じが手に触れた。
今、この皮膚の下で、筋肉か脂肪か骨か腱か、何かのきっかけで連動して固まっている。
そういえば、皮膚も筋肉も脂肪も骨も腱も、全部「私のもの」なのに、皮膚以外は全く見たことがない。
もっといえば、脳も胃も心臓も肺も、自分のものをじかに見、じかに触ったことは一度もない。それどころか、背中やお尻、つまり胴体の背面部分すら、直接見たことはない。
一番身近にある自分の所有物なのに。
これはある意味、おかしな話ではないか。
もし、皮膚が機能は今のそのままで、色が透明だったらどうか。
触ることはできないにしても、自分の目で見ることはできる。
ガンとか腫瘍とか、自分の目で発見できる。
そうだよ、神様は、皮膚を透明につくってくれたらよかったのに。
そうすれば、今まさしくつっている足の内部の様子が見られるのに。
食べ過ぎも飲み過ぎも、この目で確認できるのに。
それどころか、人種差別も起きなかったし、病気の早期発見・早期治療もかなうのに。
…足がつっぱって猛烈に痛いのに、それでも半分寝ている頭がそんなことを考えた。
足や手や 「自分のもの」に さいなまれ
鞠子