テレビをつけたら、『長七郎江戸日記』なる時代劇を放映していた。
見るでもなしに見ていたら、これって完全に「里見浩太朗による里見浩太朗のためのドラマ」ではないか。
思えば一昔前の時代劇ってそういう傾向大だよね。
『暴れん坊将軍』だって『銭形平治』だって『水戸黄門』だって。
『長七郎江戸日記』で松平長七郎長瀬を演じる里見浩太朗は、お顔も立ち振る舞いもセリフも、みんなとにかくあっぱれ。
これから大立ち回り、という直前、影絵のように障子に映るシルエットの美しいことったらない。
だが、考えてみれば、おかしな話だ。
これから、悪いヤツをバッタバッタ斬ろうというのに、あの凛としたなんとも涼し気な表情はないだろう。
そもそも、警護万全な悪い代官の屋敷に、どうしてすんなり入れたのか。
今回観た回など、すんなり入り、言いたいことだけ言い(←それもめっちゃかっこよく)、すんなり出ていった。
警護のヤカラはいったい何をしておるのだ!
それに、あれだけ刀で斬っているのに、血の一滴も出ていない。
さらには、「悪いヤツは全員悪い顔をしている」というわかりやすさ。
…などと言う人は、時代劇なんて観てはいけないのだ。
と言いつつ、すべてがあまりに「あっけらかんとあったりまえ」で、そんなこと、全然気にならない。
娯楽という意味でのテレビは、このくらいの緩さの方がよいな。
こういう時代の方がよかったな。
あの頃が よかった老いの ヒトリゴト
鞠子