白いバンを運転しているのは私。
助手席には、大悟さん(←『千鳥』の)が乗っていた。
私と大悟さんの関係はわからない。大悟さんは、黙って前を見ているだけなのだが、私がそれを気づまりだと思っているフシもなかった。
しばらくそのまま農道を走り、古くさいドライブインみたいな店に入った。
昔よく見たようなテーブルと背もたれのない丸椅子。
大悟さんはひじをついたまま、目の前にいる私ではなく、上方にあるテレビを見てやっぱり黙っていた。
まわりには、何人か人がいた。
みんな、ラーメンを食べていた気がする。
大悟さんは、グリーンのアロハシャツに短パンで、ゴム草履をはいていた。
結局、大悟さんは一言もしゃべらなかった。
もちろん私も、何もしゃべらなかった。
これを、完全に「夢」だとわかっていて見ている私が怖い。
そして、そんな状況に置かれて何も感じずいる私がますます怖かった。
怖いのは 己の心 己の目
鞠子