ダブルワーク先に、「うるさ型に違いないが、ある意味魅力的な女性」がいる。
1か月の研修中、講座ごとに課題の提出があり御指導を受けたのだが、毎回、違った社員さんが担当した。
1回目の課題のあと、こちらからわからないことを聞いたとき、担当社員Kさんも判断に迷う案件だったらしく、別の女性Hさんを連れて来た。
結局、Kさんも間違って覚えていることが発覚。そのときHさんはKさんに向かって「お姉さん、しっかりしてよ」と言ったのである。
その言い方が、フレンドリーながら少々手厳しいなと感じた。
でこのHさん、2回目の課題の担当だったのだが、私の質問に対してA4半分ほどにびっしり、周辺事項まで含めて手書きの回答をくれた。
この仕事に対する真剣さと誇りがあふれているような文章だった。
…とこの時点で、Hさんは社内で相当「うるさ型だろうな」という気がしたのである。
そして3回目の課題、また別の社員さんが担当したのだが、たまたま通りかかったHさん、私を見て「今回の課題、すごくよくできてたよ」と声をかけてくれた。
ありがたい言葉ではあるのだが、考えようによってはこれは大変「上から目線」の声かけではないか。
確かに私はこれから試験を受ける「新入社員」だが、年齢的にはうんと私の方が上なのである。もちろんこの時点で年齢は伝えてないが、そんなこと、見ればわかるはずだ。
結局私は最終試験にパスし、この会社で仕事をする権利を得た。
そして直属の上司は、娘みたいな若いIさんになった。
部下を持つわけだから、Iさんとて仕事はできる人なんだろうが、明らかに「アフター5」や「おしゃれ」の方を大事にしている人に見える。そういう意味では私に合った人なのだが、しばらくの間、研修時と同様、指導を受けなくちゃならないので、力をつけるためにはHさんみたいな厳しい人がよかったかもしれないなとちらと思った。
ちなみに同時に試験にパスした男性は、Hさんの部下になっている。
昨日、出社日で、Iさんが1時間ほどつきっきりで指導をしてくれた。
途中、感染対策用に置かれたパーティションの向こうからHさんが顔を出して私に手を振った。
一瞬、私へのエールかと思ったが、それにしても、まだ入社して間もないうんと年上の人に向かってはなかなかしない行為だよな、という気がした。
だがHさんのその行為は、私へのエールなどではなかった。
「鞠子さん、来社のチェック表にチェックが入ってなかった。Iさん、基本的なこと、きちんと指導して」。
Hさんは、Iさんに注意をしたかったのだ。
対するIさんは、苦笑いしただけで特別反応しなかった。
やっぱりHさんは相当なうるさ型に違いない。
だけど仕事はできる。もしかしたら、「仕事・命」な人かもしれない。
女性ばかりの職場。彼女は「頼られている人」だろうか、それとも「疎んじられている人」だろうか。
これまで男ばっかりの職場にいた私にとっては、こんな邪推をするのもまた新鮮な体験なのである。
第3の 人生謳歌 シテイマス
鞠子