我が家から歩いて10分弱、私の散歩コースの途上に「いかにも古い一軒家」がある。
一軒家と言っても、細い路地を挟んで東側にも同じ造りの家があるので、いわゆる昔の建売住宅みたいなものだったのだろうと思う。
軽自動車が入るか入らないかの駐車スペースの上、南向きに大きな窓のある和室が外から見える。
おそらくこの和室は2階にあたり、駐車スペースの奥に1階の1部屋があるのだろう。
この家、ついこの前まで誰か住んでいた。路地側に、歯ブラシ2本と歯磨きチューブがコップに刺してあったし、いかにもお年寄りっぽい洗濯物が干してあったので、住人は、きちんと生活している老夫婦だと勝手に想像していた。
ところが歯ブラシがなくなり、洗濯物がなくなったと思ったら、あっという間に木材やベニヤ板が運び込まれ、大工さんが入ってリフォームし始めた。
と同時に、玄関先に「連絡先:〇〇不動産」の小さな看板が立った。
こういう状況になってから、私はますますこの家が気になりだした。
3月末からのダブルワークに向け研修中の私。
もし試験に受かったら、在宅でパソコンに向かう時間がめっちゃ多くなる。
この一軒家だったら、南向きの窓辺に向かって机を置き、パソコンを設置したら、ものすごく仕事がはかどるだろうと思われるのである。
いかにも古いが、一見、「文豪が創作活動をしている家」のような感じなのである。
さっそく〇〇不動産のHPからこの物件を調べてみた。
和6畳と4.5畳、洋4.5畳、バス・トイレ、室内洗濯機置場あり、の築50年経った建物だった。
そして、家賃4万円・敷金2か月・礼金なし。
在宅ワークしたところで全然儲かるわけじゃなく、こんなところを借りたらむしろ持ち出しなんだけど、なんだかめっちゃ気になる。気になって仕方がない。
なので、ここのところ、散歩コースはいつも「この家の前を通る」べく、足が向いてしまっている。
窓越しに 子どもも畑も 見える幸
鞠子