書類Aには、あいうえお順に並んだ200名の名前。書類Bには、所属組織ごとに分けられた多数の名前。書類AとBにある名前は全部一致するはず。だから抜けやもれがないかチェックする……というような仕事がちょくちょくあるのだが、最近、この手の作業にすごく時間がかかるようになってしまった。
200名とも初見の名前ではない。大方、誰がどの組織に所属しているかも頭に入っている。それなのに、同じ名前がなかなか探せないのだ。
今、受けている研修では、頻繁に用事用例辞典を引かなくてはならない。
これも、自分でも信じられないくらい、一つの語を引くのに時間がかかる。
日常、至るところで「老い」の側面が顔を出す。
そのたびに、情けなくって哀しくなる。
頭だけではない。からだも。
家の中でスリッパを脱ぐとき、「頭の中では脱げているのだが、実際は脱げてない」という危ない場面にもう何度も遭遇している。
これ、スリッパに引っかかって転びそうになるのだ。
2回、3回とシクり、「スリッパ、気をつけなきゃ」と自覚したのに、その自覚を「忘れる」のである。
こうしてミスをしたりケガをしたりするのだ。
いまやもう、ある意味自分が全然信じられない。
躓くも 躓く理由が なにもない
鞠子