全米大ヒットドラマ『シカゴシリーズ』。『シカゴ・ファイア』『シカゴ・メッド』『シカゴP.D.』、私、どれにも相当ハマっている。
で、エヴァ・ベッカーは『シカゴ・メッド』に登場する外科医、ヘイリー・アプトンは『シカゴP.D.』に登場する刑事なのだが、2人とも女性、かつ、いわゆる「鉄の女」。
ベッカー先生なんて、初めて登場したとき、傲慢で自信満々で、うんざりするほどイヤな女に見えた。
ところが、回を重ねるにつれ、鉄の女っぷりが妙に魅力的に思えるようになった。それどころか、ベッカー先生にあこがれてしまうほど、私の認識は豹変してしまったのである。
少し前、当ブログに同僚のコナー・ローズ先生の「無表情の魅力」を書いたが、このベッカー先生、おそらくローズ先生に惹かれているのである。そのことが、言動にちらっちらっと表れるときの「鉄の女の素顔」がすごく素敵なのだ。
極めつけは、ローズ先生が引き抜きにあい病院を移ると決まった日。帰りがけ、車に乗り込むローズ先生に、軽口ともイヤミともつかない言葉を笑いながら投げかけるベッカー先生。ところが車が走り去るやいなや、感情を押さえられなくなり嗚咽する。このシーン、何度見ても感動、また感動なのだ。
一方のアプトン刑事。彼女は相棒のジェイ・ハルステッドと付き合っている。
このジェイが、ボスであるハンク・ボイドの命令に従わず、勝手に犯人を追い、撃たれてしまう。防弾チョッキのおかげで九死に一生を得るが、当然ボイドは大激怒(←この激怒ぶりも、実は愛情満載だからこそ、とわかるから大感動なのだが)。救急車で手当を受けるジェイに寄りそうアプトンも、ある意味、ボイドの怒りに協調したような冷めた態度をとる。ところが、ジェイを救急隊に任せ、救急車に背中を向けた途端、耐えられなくなって号泣する。「死んだかと思った……」とつぶやきながら、同僚のルゼック刑事にもたれかかって。
エヴァ・ベッカーとヘイリー・アプトン。
この2人の鉄の女の涙が、あまりにも強烈で切なくて色っぽくて胸を打つ。
エヴァ・ベッカーを演じるのはノーマ・クーリング。ヘイリー・アプトンを演じるのはトレイシー・スピリダコス。
俳優さんなのに、本物の医師、本物の刑事にしかみえない。アプトン刑事など、ほとんど素顔みたくで演じている。
日本のテレビドラマでは、こんなリアリティのあるもの、観たことない気がする。
鉄女ほど 流す涙は 熱くある
鞠子