出勤途中でコンビニに寄った。

購入品1点手にし、レジに向って直進したら、左手からもレジ狙いの若者がやってきて、全く同じタイミングでレジ前に立ってしまった。

若者は、金髪・ピアス・Tシャツ・短パン姿で休日感満載。見た目はいかにもチャラい感じだったのだが、彼は無言で体の位置を変え、私に先をゆずってくれた。

本当に同時着で申し訳なかったのだが、ゆずり合うほどのこともないかと素直に好意を受け入れることにし、私は彼に「すみません」と言って、レジに並んだ。

そのとき、レジでは先客が会計中だった。

そして、金髪若者の後ろにも2人、3人とレジ待ち客が並び出した。

 

どこからか現れた外国人コンビニスタッフが、もう一台のレジを稼働させ、明らかに金髪若者に向って「どうぞ」と言った。

普通こういう場合、次の方、ということで、私に声がかかるはずだ。

だが金髪若者は、ちょうど新レジのまん前にいた。それに、先客の会計は終わる直前で、このまま進んでも、私と金髪若者の会計は、ほとんど差がない状況だった。なにより金髪若者が、先、レジ順をゆずってくれたこともあり、私自身、レジスタッフに腹は立たなかった。

だがしかし、金髪若者は、私にこう言ったのである。

 

「おねえさん、こっちのレジ……」

 

びっくりした。

おねえさん、だよ、おねえさん。どうひいき目に見ても、100歩譲っても、声をかけるなら「おばさん」以外、ありえないだろう。「おばあちゃん」と言われても、哀しいが文句は言えない。実際、孫の年代の若者だったのだから。

 

彼は、とっさに「おねえさん」と言った。深く考えず、迷うこともなく、なにげに「おねえさん」と言ったのだ。盛る必要などどこにもない。つまり、彼には私が「おねえさん」に見えたのだ。

 

10代の若者から「おねえさん」と言われた……

もしかして、私、まだ、捨てたもんじゃないかもしれない……

 

1品しか買っていない私の会計は、彼より先に終了。もちろん、彼に「ありがとうございました」と声をかけて、コンビニ、後にしたわよ。

 

「おねえさん」、その一言で、どんなにテンション上がったか、言うまでもない。

職場に着くなり、大喜びで報告したことも、もはや言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

おばさんと おねえさんでは 天・地の差

鞠子

 

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