この2日間、午後3時ごろから「スタッフ全員出払い、事務所内、私だけ」状態が続いた。
これが本来の状態なのだが、コロナ禍で外回りが思うに任せず、結局、いつも事務所に複数の人がいるようになってしまっていた。
そこへ久しぶりの「事務所内、私だけ」。
まずはエアコンの温度を高め、風向きをスイングから完全上向きに変えた。
私はめっぽうエアコンに弱い。足が痛くてたまらなくなる。だが、ここのところ殺人級の高温。足をかばって熱中症では元も子もない。
そうだ、誰もいないんだ。マスクをはずそう……
この状態でお手洗いに行くと自動検温計がうるさく「マスクをつけてくれ」と命令するので、その都度顔をそむける手間がかかるが、やはりこの時期マスクはしない方が、呼吸はうんと楽だ。
それでしばらく仕事をした。
快適だ。
だが一方で、気になって仕方がない。誰か来たらマズい、という思いがどうしても抜けない。
まるで「下着をつけずに服を着ている」のと同様な不安。
マスクをはずしていたからって、誰もとがめやしない。
「あ、下着、つけてない。丸見えじゃん」なんて、間違っても言う人はいない。
別に、「人が来たらマスクする」で十分。
そうわかっているのに、いくら自分にそう言い聞かせても、マスクをつけてないことによるこの落ち着かなさは何なんだ……
マスク下着化。
私の中で、マスクは完全に下着と化した。
何でこうなってしまったんだ……
不織布に こっそり隠す 恋模様
鞠子