今日午前中に、宅配便が3箱届くことになっていた。
しかし11時半ころ届いた荷物は2箱。ドライバーさんにもう一つあるはず、と言い、探してもらったがトラックの中には「その2個しかない」という。
届かない1箱は、キリンホームタップの「生ビール」だった。
さっそくアプリで荷物の行方を追ってみた。
「配達日・時間指定につき集荷センターで保管中」となっている。
だからそれ、おかしいじゃないの。配達日・時間の期限まで、あと30分しかない、というのに。
問い合わせセンターに電話。「通話は〇秒で×円かかる」だの「通話内容は録音する」だのいちいち気に障ることを機械音声がしゃべるが、「生ビール」の代金は口座から自動的に引き落とされてしまうから腹を立ててもいられない。
追跡に30分ほど要し、結果、生ビールは「集荷センターにある」との電話がかかってきた。
出かけたかったし、集荷センターは近くにあるので、腑に落ちはしないものの、取りに行った。
何らかのミスが発生したのだろう、と思う。受付スタッフは平謝りだった。仕方がない。大量の荷物を何百か所、何千か所と届けるのだ。ミスなく無傷で無事届けるのはかなり大変なことだと思う。
怒る気、なくなった。
一応、規定通り免許証を出し、自前のボールペンで受け取りのサインをし、ビールを抱えて集荷センターを出た。
…とそのとき、ふと、気になった。
私が免許証を出したとき、受付スタッフは「すみません」と言っただけで確認しなかった。私が本当に「鞠子」かどうか、確認しなかったのである。
受け取りのサインなんて、全くあてにならない。生ビールの箱には宛先が書いてあり、それを見ながらサインするだけのことだ。
おそらく、だが、ミスに気を取られて免許証の確認を失念したのではないだろうか。最初に「先ほど電話をいただいた鞠子ですが……」と名乗ったから本人に間違いないし。怒鳴られるかもしれないし。こちらのミスなのに、電話代を使わせ、足を運ばせたのだから、嫌味の一つも言われる可能性があるし。この一件、早く終わらせたいと思うあまり……
受付スタッフのそんな心中を想像した。
もし私が本物の鞠子でなかったら、あの受付スタッフ、もっとえらい目に遭ってしまう。
ビールだからまだいいようなものの、取り返しのつかない商品であることもあり得る。
全くありがちなミスの連続で、私も十分やりかねない、と思った。
動揺で 墓穴をさらに 深く掘る
鞠子