いまだにまだ、しょっちゅう『相棒』を観ている。
あの特命係の部屋(←というかスペースというか)を「いつものぞきこんでいる2人の刑事さん」が前からとても気になっていた。セリフは全然ないのだが、いつもペアでいて、その立ち位置も視線もとっても気になる。
特にひげを生やした小柄な方が。
調べた。
役名は「大木長十郎刑事」。演じているのは俳優の志水正義〈しみずせいぎ〉さんだった。そして、2018年に60歳で亡くなってらした。
何で気になったのか、改めて考えてみると、この方の「のぞきぶり」が圧巻だから、なのだ。
立ち方、立つ位置、顔の傾け方、表情……毎回、どことなく違うのである。
特命係の2人が何をやっているのか、知りたいけどわざわざ聞くのはしゃくに障る。でもなんか気になる。ちらっと話の内容が聞こえてこないかな。そんな微妙な心中を、セリフなしで見事に表現されていた。
こののぞいている2人のおかげで、特命係の2人がますます引き立っている。のぞいている2人がいなかったら、特命係の部屋の特異性が浮かび上がってこない。
非常に大事な役柄だったのだ。
テレビドラマも舞台もそうだけど、こうした脇役の人の実力があってこそ、いい作品が作れるのだと思う。
だけど、セリフなし、役名なしの人々の力は、なかなか公にはならない。そして、すうっと消えていってしまう人の方が圧倒的に多いのだろうと思う。
志水正義さん、今頃知りました。
とても残念です。
人知れず 消えていく花 光る花
鞠子