知床沖で遭難したKAZU Ⅰ号が、海底120メートルで発見された。亡くなった人の名前も公表され始めた。
遺族の心中を思うと全くやりきれない。
その上、やりきれないのは······
こういう事故や事件、特に「加害者らしい人が存在する」場合、必ずといっていいほど、亡くなった人がいかにいい人であったかが新聞に載ること。
こういう情報、必要だろうか。
「子ども思いの優しい旦那さんでした」「教師をめざして一生懸命勉強していました」「地域活動に熱心でした」etc.etc.······こういう話を聞き出すために動揺している身内や近所の人に取材するのもどうかと思うし。
いい人であることが載れば載るほど、「加害者らしい人」の罪が倍にも3倍にも増す。
情に訴えて事故や事件を「誘導する」のはおかしいと思うのだ。
もちろん、亡くなった人を悪く書け、というわけでは決してない。
遺族や身内や近所の人を、そってしておいてあげてほしい。
ただ、正確な事実をたんたんと報道してほしい。
罪は罪で冷静に、きちんと記してほしい、と思うだけ。
「KAZU Ⅰ」の 緑の文字に いのち凍む
鞠子