先月、免許更新講習で、「信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら、車は必ず停止しなければならない」旨の話を聞いた。
いまさらこんなカミングアウトをすると免許をはく奪されそうだが、私は「……しなければならない」とまでは思っていなかった。実際、停止するより早く通り過ぎてあげた方が歩行者のためにもよい、と思える場面が往々にしてある。
でも、いずれにしても、いったんは停止した方がいいに決まっている。これからは、絶対そうしよう――そう固く心に誓った(←再度言いますが、いまさら低レベルな誓いですみません)。
ところが、今朝、出くわしたこんな場面はどうなのか。
私は前の車に続いて左折した。
前の車は一気に左折せず、横断歩道を前にいったん停止した。青信号で渡ろうとしていた歩行者がいるから当然だ。
でも、次の瞬間、歩行者が「青信号で渡ろうとしている」かどうかわからなくなった。
歩行者からすれば青信号なのに、全然渡ろうとしないのだ。スマホに夢中で。
この場合、「青信号に変わった」ことに気づいてない可能性が高い。
ならばどう知らせたらいいのか。クラクションか。しかし本来、クラクションを鳴らすのはこういう場合ではない。私の前の車も、おそらく迷ったと思う。クラクションを鳴らすことはしなかった。そして歩行者は、全然渡ろうとしない。
講習で習ったことを順守するならば、歩行者が渡るまで発進すべきではない。
だが、歩行者が渡るのか渡らないのかわからない。
その間、数秒のことなのだが、通常の人の動き、車の動きからすれば、これは結構な「間」なのだ。
…で、どうなったか、というと…
青信号が点滅し始めたとき、歩行者はようやく信号を見た。
そして、くるっと向きを変え、反対方向に向かって歩き出した。
点滅し始めたからそうしたのか、初めから渡る気などなかったのか、真相はわからない。ただ、結果としては、前の車、私の車、私の後ろの車等々、左折をもくろんでいた車は一台も左折できなかった。
歩行者や自転車や、道路における弱者最優先はよくわかるが、それは弱者の方にも配慮があってこそ。
最近、特にながらスマホ系弱者にギクリとさせられることがしょっちゅうある。
これは弱者にとっても強者にとっても、決していいことではない。
目を見れば 心のなかが 読めたのに
鞠子