このあたり、柿の窃盗が相次いでいる。
それも、あらけない数の富有柿が一夜のうちにごっそりと盗られている。
信じられない。
大勢で柿畑に乗りつけるのか。トラックでやってくるのか。盗んだ柿を、どこでどうするのか。
広大な柿畑の近くに住んでいる客様から、「柿は出荷するまでどれほど手がかかるか」を聞いたことがある。病気、害虫、害鳥、それらを避けるために、一年にわたって多大な労力が必要らしい。
そういえばつい最近、多量の「桃が盗まれた」「メロンが盗まれた」というニュースもあった。
柿に限らず果物も野菜も、手間暇かけて育てられるのだ。
そうして手をかけた製品が、あっけなく盗まれていく。金銭的な被害はもとより、手塩にかけた子どもを盗まれたみたいな悔しさも相当なものではないだろうか。
それもパッと見、盗みにくそうなこれらでも盗むのは、やっぱりお金に困っているから?
建築現場にある電線、マンホールのふた、二宮金次郎の銅像も盗まれた。
これらお金になる? どうやってお金にする?
金・金・金。窃盗も詐欺も全部お金目当て。
確かにお金がなければ食べることも着ることも住むこともできないんだから。
だけど、しょせん1万円札も「紙」だし、100円玉も「金属」ではないか。みんな、そんな紙や金属を見て、1万円の価値、100円の価値を勝手に想像し、日常が成り立っているだけのこと。
そのために、人生を棒に振る。
…なんて、食べることも着ることも住むこともできなくなったことがない者がつぶやくきれいごとなんだろうか。
このアルミ 1円です それ信じます?
鞠子