携帯電話やスマホが普及する前は、自分の担当の客様、友だちなど、しょっちゅう電話をかける相手先の電話番号は当たり前に記憶していた。
今は何一つ、覚えていない。
先週、仕事でビッグ行事があったのだが、とにかく参加人数を増やすため、本来なら「客様じゃなければ参加できない」行事なのに、基準を緩めた。
将来、客になってくれそうな人にも積極的に声をかけた。
結果、40名近くの客外参加があった。
行事が終わったら、当然、営業アプローチをする。
組織担当者は、40名のうち、どの人にアプローチするか、所在地から簡単に判別できる。
担当者一人当たりにしたら、たかだか7~8名のことなのである。
当然、ビッグ行事の前も当日も後も、自分が担当する客様候補7、8名は気になるはずだ。
…だがしかし…
若い担当者は、その7、8名の名前すら、覚えていない。
なかには珍しい名字の人もいたりするのだが、その名字を言っても「誰ですか? それ」みたく、キョトンとしている。
今の20代、30代は、固定電話の時代を知らないのだ。
今、電話番号を覚えられない自分が情けなくてならないが、彼らにしてみれば、電話番号を覚える方が不思議なのだ。
そうして電話番号だけでなく、名前も社名も、だんだん覚えなくなる。
いくらITが発展しようと、いくらオンラインで何でもできるようになろうと、一番根っこの部分が退化している。
退化していることに気づかない。
いいのか、これ。
怖すぎやしないか。
恋人の 名前も書けずに 愛語る
鞠子