西郷輝彦さんが、シドニーで前立腺がんの治療を受けている、という記事を読んだ。
日本では承認されていない先端治療で、ステージ4のがんに立ち向かっている。
摘出手術、骨への転移。それでホルモン治療も放射線も抗がん剤治療も受けた。その上で、さらに新しい治療を受けるのは、「何としても仕事に復帰したい」という強い思いがあるから。
数々の苦しい治療を経てきたのに、さらに未知な治療に挑戦する。
なんて強い精神力だろう。
すごいな、と思う。
ただ、そう思いながらも、複雑な気持ちもある。
ご本人も、最初は「時間もお金もかかる夢のような話だと思った」と言う。
そう、つまり「お金がある」ことが大前提。だから、「普通の人にはできない」ことなのだ。
何よりも命は大事、と言うけれど、しょせんは金か、と思うと、なんかやりきれない。
それに、このコロナ禍、渡豪したわけで、これもひっかかる。
治療効果は上々で、副作用もそれほどでない、とか。夫婦でマンションに住み、シドニーでの生活を満喫しているそうだ。
なんだ、やっぱり住む世界が違う人の話か···病に苦しみ果敢に立ち向かう人に対してこんなふうに思うのは、私のひがみ?
心がねじくれているから?
···やっぱり、複雑な気分。
頑張れと 言えぬ己の さもしさよ
鞠子