窓全開で車を走らせていたら、助手席の窓から「蜂が入ってきた!!
!!」
…パニックになったのは言うまでもない。
だが、片側1車線の国道を走っており、退避する場所がない。
幸い、蜂は私の目の前、フロントガラスに止まっている。
パニックになりながら考えた。
車を止めるとしたら、この先のセブンイレブンしかない。
そこまでコヤツがフロントガラスでじっとしていてくれるかどうか。
窓を閉めてしまうのは怖すぎる。かといって、窓を開けて走っていたら、風にあおられテキは車中を飛び交うかもしれない。
迷う…どうしよう…迷う…どうしよう…
そうこうしているうちに、信号で止められてしまった。
コヤツがセブンイレブンまでじっとしている確率より、飛びかう可能性の方が高いに違いない。
意を決した。
手元にあるタオルで、「つかみ殺す」ことにした。そしてそのタオルごと、車内のゴミ袋に入れ、捨てよう、と。
唯一の懸念は、私の手がひるんで、コヤツをつかみ殺し損ねることだ。そうなったら……
しかし、赤信号の間に決着をつけねばならぬ。
強行した。
唯一の懸念が当たってしまった。
いざとなったら、やっぱりつかむことはできなかった。
だがしかし、そのどさくさの間に、蜂は運転席の窓から飛び立った。
…って、こんなラッキー、ある?
これ以上のハッピーエンド、あるか?
ないよねえ。
蜂を殺さずにすんだ。蜂は死なずにすんだ。そして、私は蜂に刺されなかった。
私と蜂がいかにツイていたか、これほど痛感したことはなかった。
舞い込んだ 先がそもそも ツイていた
鞠子