職場のオトコ後輩が、親知らずを抜いた。
彼は見るからに頑丈そうな歯をしているが、それに甘えて手入れを怠っているのとヘビスモのせいで、状態はあまりよろしくないらしい。そして、治療不可なほど虫食った親知らずが歯肉にめり込んでいるため、かかっている歯医者から大学病院に紹介状を書かれた。
抜歯後は気をつけなければいけない。
私の場合、歯が弱く、根も浅いため、親知らず1本はいとも簡単に抜歯された。あまりにも楽々だったので、甘く見た私はその晩、泳ぎに行き、翌日からえらい目に遭った。
彼にもこう助言した。
「頭蓋骨から無理して1本、取るんだからね。後は大事にしないと」
結局、手術みたいなものだったらしい。
歯肉を切開され、骨切りみたいなことをされ、それも執刀(?)したのが研修医だったらしく、ついていた医師(教授?)の「そうじゃない。横を切るんだ」「その歯肉をよけて」みたいなリアル指導が逐一耳に入り、オトコ後輩曰く「生きた心地がしなかった。さらに「頭が混乱して、医師の言葉も現実じゃなくて夢の中で聞いたのかもしれない」ほどだったらしい。
で、痛み止めを飲みながら、時間があると缶コーヒーを買ってきては、飲まずに頬のあたりを冷やしている。「冷やしてはいけない」と言われたそうだが、冷やさなければならないほど、辛いらしい。
で、そんな状態でも彼はヘビスモのままなのだが、これって大丈夫なんだろか。
頭蓋骨に穴が開いている状態で、ニコチンがそこから悪影響を及ぼすことにはならないのだろうか。
ま、だめなら医師から注意喚起がなされるだろうからそれほど影響はないのかもしれないが。
そもそも余計なお節介だからいちいち言わないけど。
タバコが吸えるだけ、まだ余裕があるのだと思うことにするけど。
週末、重いものをいくつも運ばなければならない仕事があったんだけど、さすがに「歯をくいしばることができない」といって、スルーしていた。
いかな意地悪な私でも、そんな体調のときに「やれ」とは言わないが、それでもタバコが吸える余裕があり、勤務時間中、頻繁に喫煙室に行く後姿を見ると、手放しでかばってやる気にはならなかった。
むしろ、ハラが立ったりする私は意地が悪すぎるのだろうか。
彼の抜歯は、私のストレスをも増加させていること、間違いない。
目の前のトレーの上に歯の根見る
鞠子