『警部補・佐々木丈太郎』を何シリーズか観た。寺脇康文さん主演。初単独主演作品なのだとか。
寺脇さん、と言えばどうしてもイコール『相棒』で、この落ち着いた雰囲気の警部補とはどうも相容れない。なので観ていてもなんとなく落ち着かなかった。
…とそれはさておき、この佐々木警部補が犯人に対し言った言葉がとても気になった。
この犯人、人を殺した。その理由は納得&同情できるものであり、殺された方は相当悪人。だが警部補は、
「それでも人は、人を殺してはいけないんです」
と言った。ここまでは十二分に理解できる。ただ、さらに続けて言った、
「人は、自分も殺してはいけないんです」
これはとても気になる。
なぜ、自分を殺してはいけないのか。自殺は悪なのか。私は、佐々木警部にその理由まで話してほしかった。
もし自殺したら、その後処理に関して周りの人に大迷惑をかける。あるいは、周りの人の心に大打撃を与える。だからだめなのだ、と言われれば反論できないが、これはつまり「周りの人の人生を優先する」ということだ。自分の心にふたをして、人を優先する――この生き方は、私の価値観とは合わない。限界が目に見える。十中八九、破たんする。
さらに意地悪く考えれば、生きている方が周りの人に大迷惑をかける、あるいは周りの人の心に大打撃を与える場合もないとは言えないではないか。
自殺を肯定する気も推奨する気もさらさらないが、かといって私は、「人は自分を殺してはいけない」にもろ手を挙げて賛成もできない。
今は、とりあえず「死にたい」ほどの苦に直面していないし、何より死に至るまでの過程が怖いから、日々、少しでも楽な方へ楽な方へと生きている、という気がする。
もし死にたいほどの苦に直面しても、結局、死に至るまでの過程への恐怖が強くて、自死はあり得ぬな、とは思っているけど。
初めから他人の意思で得た命
鞠子