さて今夜はレトロ・サスペンス劇場鑑賞。

観たのは『二人の夫を持つ女』。1977年、『土曜ワイド劇場』で放映された作品で、夏樹静子の原作による。

 

夏樹作品だから、さぞや面白いに違いない、と踏んだのだが、それ以上に印象に残ったのは、恐ろしいほどの「隔世の感」。

44年前には、「忘れちゃいなさいよ。女にはレイプ願望があるんだから」と女性に堂々と言わせている。あるいは、数日前に知り合った男(←それも、経営研究所員などという肩書で、どう見てもうさんくさそうな人物)に、兄夫婦のアパートの合い鍵をポイと渡してしまったり、男は男でそのカギを使っていきなりアパートに入ったりと、今ならあり得ない場面続出。

 

政治がらみの汚職事件の秘密を知ってしまった商事会社の総務課長・桂を抹殺する手段として取られたのが「妻のレイプ」。桂は、「これを公にされたくなければ、汚職を黙認せよ」と脅迫される。

桂は失踪。真相を暴こうとするレイプ被害者である妻。彼女を助けるのが桂の妹とその恋人(←チョイ悪風なイケメン。で、恋人同士になったばっかり)。実はこの恋人も、脅迫側の人間だったのだが、桂の妹より桂の妻にだんだん惹かれだし、相思相愛状態になっちゃうもんだから、事態はややこしい状況に変わっていく。

 

で、「女にはレイプ願望が…」と口にするのが、桂の妹。

合い鍵で入り込むのがその恋人。

 

……と書きつつ改めて思った。

いまどき、汚職をもみ消すためにレイプ、なんてまどろっこしいこと自体、あり得ないか。

テーマ自体からして、隔世の感アリだったのかもしれない。

 

ちなみに桂を演じるのが小坂一也、その妻は宮下順子。

実は主演だったのは桂の妹とその恋人、だよね。これは風吹ジュンと本郷功次郎。

小坂・宮下・風吹は「さもありなん」な配役だけど、本郷功次郎はちょっと意外だったな。チョイ悪風を演じるのは、少々無理があるとにらんだ。

 

 

 

 

許されぬ事項ものどかな日の証<あかし>

鞠子

 

 

 

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