今日も母の納骨堂へ。
まずは母のお骨の前で手を合わせつつひとしきり愚痴り、その後、御骨仏様の前へ。ろうそくに火をつけ、線香に火をつけ、お賽銭をして、手を合わせながら図々しくお願いなんかして、さて、帰る前にろうそくの火を消して···と思ったら、知らない女の人が納骨堂に入ってきた。
お参りにいらしたらしい。

ろうそく、どうしよう。
消したがいいか、消さぬがいいか。
このタイミングで消すのもなんとなく意地悪な気がしたので、思いきって「ろうそく、つけときましょうか」と声をかけてみた。
するとその女性、一瞬、意外そうな顔をしたのである。そして、さも困ったような表情で、「え···え、ええ」となんとも歯切れの悪い返答をなさったのである。

私はそのまま納骨堂を出て、自分の車に乗り込んだが、女の人がなぜあんな顔をしたのか、あんな返事だったのか、不思議でならなかった。

駐車場には、私の車と他県ナンバーの車のみ。
なるほど、さっきの女性は、遠くからお参りに来たんだ。
···え? ということは、ちょっと待て。もしかして、この納骨堂の「ろうそくをつけた人は、帰る前にろうそくを消す」というルールを知らないのではないだろうか。
ろうそくはつきっぱなしになっているものと思っているとしたら、さっきの表情も納得できる。

急に心配になってきた。
1つ目の曲がり角でUターンして納骨堂に戻った。
他県ナンバーの車はまだ停まっている。しかし、今さら中に入って「火は消してからお帰りください」なんて言うのも嫌らしい。

···仕方がないので車の中で待った。
女の人は、なかなか出てこなかった。
かなり長いこと待ったあと、ようやく出てきた。
だがしかし、彼女はスマホでのんびりお寺や裏山の写真を撮っている。
私は彼女の目の前を通らないと、納骨堂には行けない。彼女がまた納骨堂に入る私を見たら、それこそ不審に思うだろう。

私はろうそくの火が消えているか確認したいだけなのに···
そして、早く帰りたいのに···

結局、彼女の撮影タイムにさんざつき合わされた。
そもそも、なんで私はこんなおバカな状況に陥ってしまったのか···

彼女の車が走り去った後、急いで納骨堂に戻った。
ろうそくの火は消えていた。

言うまでもないけれど、他県の彼女に全く罪はない。


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