キャッシュカードを紛失し、意気消沈しているなか、スーパーに買い物に出かけた。

 

PB商品ばかり置いてあるお菓子コーナーが「1点98円・3点278円」になっていた。

税抜きで16円、お得になる……につられて、『えびせんべい』『鈴かすてら』、それから『南部せんべい』を手に取ろうとしたら、その『南部せんべい』には「98円」の表示しかなされていないことに気がついた。

PBのお菓子、ざっと50種類ほど陳列してあるなかで、まんなかあたりにある『南部せんべい』だけが「3点278円」の表示がないのである。

 

これは絶対店のミス、と思い、近くにいた店長らしき男の人に聞きに行った。

その人は、すぐ調べに行った。そして「『南部せんべい』はなぜか対象外になっている」と言いにいらした。

店長らしき男性も、怪訝そうだった。『南部せんべい』だけが除外される理由はない。明らかに入力ミスなのだ。だが、いまさら直すことも簡単じゃないんだろう。もしかしたら、まとめ買いの値引きは、本社で入力しているのかもしれない。

 

そんな事情もわかるし。たかだか16円のことだし。聞きに行く段階で、既に私は気恥ずかしかった。事を荒立てるつもりは毛頭ない。

 

そうして「3点278円」は忘れることにし、他の入用品をかごに入れ、カートを押してレジに並ぼうとしたとき初めて、エコバックがないことに気づいた。

間違いなく、車から持って出た。入店時、カートの取っ手にかけると滑るなぁ、と思ったばかりなのだ。

 

動いた順を逆からたどった。ない。そのまた逆にたどった。ない。見なかったコーナー含め、店内全部見て回った。ない。折りたたみ式の小さなバックじゃない。麻製の、たためない、相当大きなバックなのである。

 

店内2巡してあきらめた。

サービスカウンターに行った。感染除けのビニールシートの向こうに、マイバッグは置かれていた。

 

お客さんが拾ってくれたのか、スタッフが拾ってくれたのかわからないが、カウンターにいたのは、さっきの店長らしき男性だった。

 

気恥かしさは倍増した。

そして、あんな大きなもの、「落としたことに気づかない」己の鈍感さにいたく落ち込んだ。

 

低レベルな失敗続き。

おそらく、これからもっともっと……

 

……――……そう考えて、ますますへこむ……――……