いまさらナンだが、夕べ初めてうわさの『半沢直樹』を観た。

前回のシリーズも観ていない。

今回も既に4話目だった。

それでも観たのは……

 

先週、知人から少々込み入った話が持ち込まれ、電話で何度かやりとりしていたのだが、その最中、話が佳境に入っているのに「ごめん、9時から『半沢直樹』観なきゃいけないから」と切られてしまったのである。

私に言わせれば、話の中身はテレビなど見ていられないほど深刻だった。

その上、電話の相手は、普段、テレビなどあまり見ない人だった。

 

そんな人が、人生の大問題より『半沢直樹』。

これは一度観てみなくては、文句も言えない、と思ったのである。

 

過去3回のストーリーがわからず、内容的にはいまいちよく理解できなかったが、それよりなによりびっくりしたのは、演技が「まるで歌舞伎」だったこと。

 

確かに歌舞伎役者が何人も登場しているのだが、この人たちにあえて「歌舞伎ばりに大げさに演じる」ことを仕掛けているに違いない。

歌舞伎役者はドラマや映画用の演技と歌舞伎での演技をきちんと演じ分けられる。

だがしかし、『半沢直樹』のそれは、まさしく歌舞伎だった。

歌舞伎役者でない堺雅人も、歌舞伎役者のような顔の表情を作っているように見えた。

 

『半沢直樹』が好きなら、その人は歌舞伎も絶対好きだ。「そんなばかな」という人は、歌舞伎を観たことがないからだ…そう思ってしまった。

ただし逆は必ずしも正しくない。

中車も猿之助も、こういう演技なら、私は歌舞伎の舞台の方を観たい、とつくづく思った。