愛知で134年前、コレラで殉職した江崎邦助警官のことを知った。
渥美半島先端近くの村人が感染したため、視察と防疫業務を命じられたそうだ。
当時、「患者は生きたまま焼かれる」等のデマも出回っており、村人は激抵抗。江崎巡査は粘り強く説得し、健康診断や通行人の消毒などを行った。
…が、本人も感染してしまった。
戻れば感染を広げてしまうと思い、松林の中の小屋に残ることを決意、翌日死亡した。看病に駆けつけた妻も感染、3日後に亡くなったという。
「命じられた」んだから、拒否は不可能だったのかもしれない。あるいは命じられたとき、既に死を覚悟していたかもしれない。それでも献身的に任務を遂行した。
…こういう話を聞くたび、「世の中には本当にそこまでやれる人がいるんだ」とつくづく思う。
命がけ、とは言わないまでも、世の中には、「私ならお金をもらっても絶対やりたくない」ことを「ぜひ、やりたい」と思う人たちがいっぱいいる。
東京都知事選に22名が立候補したと知ったときもそう思った。
こんなコロナ禍、「やりたいんです。やらせてください」と絶叫していた候補者の映像も見た。政治家という職業も、「私ならお金をもらっても絶対やりたくない」仕事の一つ(←ま、そんな心配、する必要はさらさらないが)。
だって、よくて当然、の世界でしょう。寝る間もなさそうだし。いたるところ、3密だし。ちょっと恋愛などしようものならメッタ打ち、じゃないの。
しかし、「じゃあ他なら何かできるのかor何かしたいのか」考えてみたら、医療関係も介護関係も、教育関係もムリ。
IT系も販売系もムリ。
コンビニ店員も、レジスタッフも、肉体労働系も、全部ムリ。
意外と「単純作業」は根気が続く気がするが、これも実際やってみたらダメかもしれない。
こんなんで、これまでよく生きてこれたなあ。
寛大なまわりに感謝するしかない。