今朝、勝手に映っている(←と言ってもつけたのは私だが)テレビから漏れ出た言葉にびっくりした。

「家計簿をつけずに家計簿をつける」

むむ? なんだそれは。

なんでも、家計簿アプリと銀行口座を連携させれば、カードで買ったいろんなものが自動的に仕分けされ、勝手に家計簿ができあがるのだとか。あるいは、レシートを写メすれば、家計簿ができるのだとか。そんなニュアンスのことを言っていた。(←画面を見ていないので不正確かもしれないが)

だがこのアプリを使ったら、何を好むか、何を買っているのかといった究極の個人情報が、どこかで集積され。利用されやしないか。と同時に、社会人になって以来ずっと会計に関わった仕事をしてきた私にすれば、とても複雑な気分だ。お金を使う。これがどんな科目になり、どういう仕分けをするかをつかむことが、会計業務の第一歩だと思うから。この部分をアプリに任せたら、会計に携わる者の「感覚が鈍る」。

ま。家計簿をつける目的は、入出金を見直すことで「無駄な出費を抑え、お金を貯めよう」だから、そういう意味では便利なアプリだとは思うが。

ところで、
現在、私が直面している仕事は来期の予算組み。うちの場合、「客様の数によって連動する収入項目と支出項目」がいくつもある。昨年まで、私はこれを手計算していたのだが、何パターンもシュミレーションするため、今期はエクセルで表をつくってみた。

わ、めっちゃ便利じゃないの、これ。
客様の数を入れさえすれば、各科目の金額がパパパッと算出されてくる。

でも、な。
しょせん、「数字上」の話なのである。現在700の客数が750になったら、800になったら、あるいは1000になったらどうなるか。
瞬時に数字は出てくるが、700が1000になるなんて、あり得ないのである。
700を750にするのだって、実際はムリなのである。
そのムリさ加減、職歴が長い私には痛いほどわかるが、新人がやったら、全然わからないに違いない。
毎年、ひとつひとつの項目について決算数字を見、予想を立てて手計算しなければ、この「ムリさ加減」を感覚として得ることはできない。

あと数年で、この仕事も後輩に譲ることになる…そういう思いもあってデータ化してみたが、こんなもの出したら、むしろマイナスだな、とつくづく思った。